地震など大規模災害発生時、市町村の災害対策本部は非常に多くの応急対策を行なわなければなりません。このような場合、どのような対策を、いつ、どのように実施するべきか的確に判断することは、極めて難しいことです。また、必要とされる対策や優先順位は、発災期→避難誘導期→避難生活期と、災害発生から時間とともに変化します。そのため、災害対策本部における的確な意思決定には、その時々の正確な状況把握が必要です。このような困難な状況の下でも、自治体が合理的な災害対応にあたれるようにするため、わたしたちは、災害対策本部の業務を情報面から支援するための研究開発を行っています。

災害対策本部の業務は、「状況把握」「意思決定」「対策実施」の3つのプロセスの繰り返しです。わたしたちは、「状況把握」を支援するためのツールとして、地震発生直後の実被害情報の空白を埋めるための「リアルタイム地震被害想定システム」や被害情報を効率的に収集するための情報収集端末、さらに輻輳(ふくそう)に巻き込まれず確実な情報伝達を可能にする通信システムの開発を行っています。また、「意思決定」を支援する情報システムとして、応急対応に必要な資機材の量などを算出する「応急対応需要算出システム」の開発も行っています。

今後は、時々刻々変化する状況のなかにあっても、合理的な「意思決定」や確実で効率的な「対策実施」を行えるようにするための「応急対応支援システム」を開発する計画です。


リアルタイム自信被害想定システム


応急対応支援システム