聴覚に障害がある方のための火災警報通報装置大規模災害発生時に、各個人が自分自身、家族、地域の安全確保のために的確な行動をとるには、被害情報や行政による災害対策情報など、さまざまな防災情報が不可欠です。現在、これらの情報を住民に伝達する手段として、防災行政無線により屋外スピーカーや個別受信機を使って音声放送を行う方法が広く用いられています。しかし、騒音や受信機との距離によっては、聞き逃しや聞きまちがいのおそれがあります。また、情報の保存や再確認ができない、難聴者に伝わりにくいなどさらに改善できる点もあります。

そこでわたしたちは、防災行政無線の現状を分析して、誤解のない、理解しやすい防災情報の伝達方法を研究し、その成果を「住民提示用防災情報文章データベース」という形にまとめています。たとえば、橋が渡れないという情報を伝えるのでも、「A橋、B橋、C橋は通行できません。」と言うよりも、「渡ることのできない橋があります。」と、まず大きな情報を伝えた後に、「通行できない橋は、A橋、B橋、C橋です。」と言ったほうが、聞き逃しが少なくなり、情報が伝わりやすくなると考えられます。

またわたしたちは、自力で避難できない方や聴覚に障害のある方のための火災警報通報装置を開発してきました。現在、この装置を火災だけでなく、防災情報全般の受信端末装置として使えるよう研究開発を行っています。さらに、聴覚だけではなく、そのほかの障害を持つ方々のために、ベル、サイレンなどの「音」に加えて、「振動」「光」「におい」などを警報伝達の手段として使うための研究開発も進めています。


においを使った警報伝達のための実験