質問
天ぷら油火災に用いることのできる消火器具について教えて下さい
回答
天ぷら油が燃えている火災には、強化液消火器(簡易消火器具)が効果を発揮します。 強化液の主成分である炭酸カリウムの作用により、油脂はケン化(エステルの加水分解)反応を起こし、アルコール(グリセリン)と脂肪酸カリウム塩に変化します。 このケン化作用により油脂の表面は不燃性の石鹸様の物質に変化し、これが未反応の油脂を空気から遮断するとともに、油脂の温度を大変効率よく低下させます。
消火器を選ぶ時に注意を必要とするのは、現在の強化液消火器として販売されているものの中に「中性強化液」という、天ぷら油火災には有効でないと考えられる種類のものが含まれていることです。日本消防検定協会により、天ぷら鍋の火災に対する有効性が確認された鑑定マークの付いたエアゾール式簡易消火具を選ぶことをお勧めします。
天ぷら油火災が発生した場合、可能であれば、まず、ガスコンロなどの火を止めることです。 油は高温ですから、火傷に注意してください。 水を注入すると突沸して危険ですし、野菜など水分を含んだものを投入しても同様に水分がはじけて、周辺に高温の油が飛び散ります。 ガス系でも、水系でも、消火剤を放出すると一時的に火勢が拡大するので、狭い台所で消火器を使う時には、このことに注意してください。