イ 安全で迅速に土砂災害現場で救助活動をするための研究
(ア)背景・目的
平成26年広島土砂災害、平成28年熊本地震等では、要救助者の位置推定、がれきの取り除きに伴う二次崩落のおそれ等から、救助に時間を要しました。そこで、ドローン等による上空からの画像情報を活用した要救助者の位置推定技術の開発や、救助現場での安全ながれき取り除き手法の開発を目的として研究を行いました。これにより、要救助者の位置の迅速な絞り込みや、救助活動に伴う二次災害の防止を行うことが可能になります。
第3-10図 土砂災害現場の救助活動
(イ)令和2年度までの5年間の主な研究開発成果
5年間に実施した、二次崩落の事例の分析、生存救出の事例の分析、土砂災害におけるドローン等の情報の活用方法の検討及び土砂の効率的な排除方法の検討から得られた成果及び知見を令和元年度「土砂災害における効果的な救助手法に関する高度化検討会」へ提供しました。また、これら技術及び知見を活用して、平成28年熊本地震、平成30年北海道胆振東部地震及び令和元年東日本台風の土砂災害現場における捜索救助活動に対する技術支援を行いました。
土砂災害現場でのドローンによる画像の取得から活動への利用に至る処理の流れと考え方について整理しました。これを令和元年東日本台風による相模原市内の土砂災害現場に適用した例を第3-11図に示します。
様々な形状に岩を積み上げ、位置によってそれぞれの岩の振動の特徴がどのように違うか調べました。その結果、ほかの岩を支えている条件と支えていない(除去ができる)条件とでは、振動の周波数や水平面内での振動の方向の偏りが異なることが観察されました。さらに、岩の条件を変えずに除去できる岩を特定する特徴について検討をしています。
土砂災害現場において夜間でも情報収集をできるようにするため、高精度のレーザースキャナをドローンに搭載し、測量データを迅速に現場で入手する機器の開発に着手しています。救助活動の時間及び資源の制約がある環境において、活動方針の策定や安全管理に用いるデータを提示することができるよう、高速で精度良く地形を計測する仕組みを開発し、精度の検証を行っているところです。(第3-12図)。今後は、精度の向上、消防活動に資するデータの解析・提示方法及び運用方法の検討を実施する計画です。
第3-11図 土砂災害現場におけるドローンの空撮情報の活用例
第3-12図 ドローンに積載したレーザースキャナを用いた計測の精度検証の様子
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