石油タンク火災の性状解明と効果的な消火方法
2003年十勝沖地震では、苫小牧市の製油所でナフサタンクの「全面火災」が発生しました。「全面火災」とは、タンクの中の石油が全面大気に露出し、そこから炎が立ち上がる火災のことで、消火は困難を極めます。このタンク火災は44時間も燃え続け、社会に大きな衝撃を与えました。
この火災をきっかけとして、わたしたちは、石油など可燃性液体の火災に対する、より効果的な消火方法についての研究をはじめました。石油タンク火災の消火には、燃焼表面を泡で覆って空気を遮断する「泡消火剤」が使われます。わたしたちは、タンク全面火災に対する効果的な泡消火方法を探るため、実物のタンクや模型タンクでの泡消火実験を行っています。また、泡消火剤の基本的な性質や石油類の燃焼性状(周囲へ伝わる熱の激しさ、燃え方、炎の熱さ、煙の量など)の解明も同時に進めています。これは、効果的な消火方法を追究する上で基礎となる大切な研究です。