(ア)背景・目的

  石油タンク火災には泡消火薬剤を用いた消火が最も有効と言われておりますが、効果的な泡消火手法の検討は、泡消火過程の複雑さゆえに、定量的な評価が難しく、さらに、近年フッ素化合物の国際的な規制動向に鑑み、消火効果の高いフッ素含有泡消薬剤が規制されるなど、使用できる泡消火薬剤の変化に応じた適切な消火手法の検討が課題となっています。

  本研究は、泡消火薬剤の種類(フッ素含有泡消火薬剤、フッ素フリー泡消火薬剤)、油種、投入方法、そして火災規模の違いにおける、各要素に対する消火性能の検討を行うことを目的とします。

(イ)令和2年度までの5年間の主な研究開発成果

  消火性能に大きく影響する泡の性状(膨張率、泡の保水性)を変化させた場合のフッ素含有泡消火薬剤及びフッ素フリー泡消火薬剤の消火性能を調べ、石油タンク火災等の消火に最も効果的な泡の性状及び消火限界泡供給率(消火するために最低限必要となる単位時間当たり及び単位面積当たりの泡の供給量)を示しました。その結果を基に、燃料の種類(ノルマルヘプタン、ガソリン、重油、軽油)の違いによる泡消火薬剤の種類ごとの消火性能を解析し、消火限界泡供給率を示しました。また、石油タンクへの泡投入箇所(1~4か所)を増やした場合、泡が油面を覆う速度や消火限界泡供給率から、泡消火薬剤の種類により消火性能が異なることを示しました。更に、相似則及び放射熱の解析から、泡消火薬剤の種類にかかわらず、大きな石油タンクほど消火限界泡供給率が高くなる(消火しにくい)ことを示しました。


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