平成26年度〜平成28年度に消防ロボットシステムに必要となる自律技術、耐放射熱(*1)技術、協調連携等の基礎技術を、実際の消防活動でも使用できる高い信頼性をもって機能できるよう研究開発を実施し、各単体ロボットの試作を行いました(第1-2図)。


第1-2図 各単体ロボットの試作機

第6-2図 各単体ロボットの試作機


  • 飛行型偵察・監視ロボット:上空を自律的に飛行し、災害全体の状況を偵察するとともに消火活動に最適な場所や侵入経路の選定に必要な情報を収集する他、放水開始後、放水砲ロボットの放水が届いている地点を監視します。
  • 走行型偵察・監視ロボット:地上を自律的に走行し、石油化学コンビナート敷地内の通路の状況を偵察します。放水開始後、放水砲ロボットの放水が届いている地点を監視します。
  • 放水砲ロボット:放水地点まで自律的に走行し、原油火災を消火するための泡を放射します。また、熱による施設の倒壊や周辺の施設への延焼を防止し冷却するための放水をします。装備する放水砲は、泡放射、広角放水、棒状放水を一つの放水砲で切り替えることができ、さらに、放射する泡の消火性能と目標位置への到達性能を両立した新方式ノズルを採用しています。
  • ホース延長ロボット:ホースを積載し、自律的に走行しながらホースを延長します(消防では、移動しながらホースを敷設することを「延長する」と言います)。ホースを延長するロボットの研究開発は、世界初の試みです。
  •   導入した基礎技術は、①各単体ロボットが自ら判断し、走行・飛行して移動する自律技術、②最も高熱となる石油タンク火災を想定し、放水砲ロボットがこの火災に対して有効に放水が届く50m程度まで近接して活動が可能となる耐熱技術、③ホース延長ロボットが放水砲ロボットの背面を撮影し、画像認識により自動的に追従走行する協調連携技術等です。


(*1) 放射熱:火炎から電磁波として放射されるエネルギー。大規模火災では熱の大部分が放射熱となります。ここでは、大規模な火災を想定しているため、放射熱に対する対策が必要になります。


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