消防研究センターは、国民を災害から守る消防にとって、「いざというときに役に立つ専門家集団」でありたいと願っております。消防研究センターは総合的な消防防災研究機関としての幅広い使命を担っており、「発生する災害に立ち向かう消防を、科学技術的側面から支援する」ことが、その最重要な使命と信ずるからです。

しかし、人的に限られた集団が「いざというときに役に立つ」ことを維持するのは容易ではありません。特に、消防が直面する場面では、単に知っているというレベルの知識ではなく、肌で知っているレベルの深い知識が求められます。災害対応では「生兵法はけがの元」という事態は許されません。

災害に専門家として迅速に対応できるためには、事態が発生してから研究を開始するのでは遅すぎます。事前に十分に知見を蓄積し、備えておくことが肝要です。将来発生するかも知れない事態に備えて研究課題を戦略的に選定することが不可欠です。

災害の未来を見通す“先見性”、国内外の他者との連携をはかる“連帯性”、災害発生などに対応して計画を変更する“即応性”が不可欠であると感じますし、そのためにこそ、目先のニーズにのみ追われることなく地道な努力を続け基礎力を蓄積する“継続性”も忘れてはなりません。

平成23年3月11日の東日本大震災を経験し、「国民の生命、身体及び財産を火災・災害から守る」という消防の任務に対して、「科学技術の研究開発」がいかに貢献しうるかが、改めて問われております。
こうした認識をもって、私どもは、安全で安心できる社会づくりに貢献していきたいと考えております。

消防研究センター
所長 山田 常圭