1964年 新潟地震の際の製油所における石油タンク火災
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周期数秒から十数秒の「やや長周期地震動」を原因とする石油タンクのスロッシング被害は、2003年十勝沖地震以前にも、1964年新潟地震の際の新潟の製油所、1983年日本海中部地震の際の秋田の発電所で発生しています。わたしたちは早くから「やや長周期地震動」に注目し、研究を進めてきました。

「やや長周期地震動」の発生のしかたには、大きな地域差が見られます。たとえば2003年十勝沖地震では、苫小牧で観測された大きな「やや長周期地震動」も、釧路では観測されませんでした。わたしたちはこれまで、各地の気象台や測候所で蓄積されている過去の地震記録を使って、地域ごとに「やや長周期地震動」の特性を分析してきました。その結果、たとえば日本海東縁部で地震が発生すると、新潟では周期約10秒の揺れがとくに大きくなることなどが明らかになりました。これらの結果を使えば、石油タンクが立地する各地域の「やや長周期地震動」の最大レベルを予測することができます。この研究成果は、2003年十勝沖地震の後に改正された消防法令の石油タンクの技術基準に採り入れられ、新潟など「やや長周期地震動」が大きく出ると予測される地域については、基準が強化されました。


2003年 十勝沖地震の際に苫小牧で観測された「やや長周期地震動」(地動速度波形)


「やや長周期地震動」の増幅特性の解析例