1995年 阪神・淡路大震災で強振動の影響により側板が変形した石油タンク大地震が発生した場合、石油タンクが立地する場所(石油タンクサイト)はどのような揺れに見舞われるか?これを予め想定しておくことは、タンク被害の予防対策をうつ上で必要不可欠です。また、実際に地震が起きた時には、石油タンクサイトの揺れをいちはやく知り、どの程度の被害が心配されるか推定することができれば、災害を最小限に食い止めることに役立ちます。

このためわたしたちは、実際に石油タンクサイトに地震計を設置して、揺れの情報を準リアルタイムに集めるシステムの開発に取り組んでいます。 また、大地震発生時の石油タンクサイトでの強い揺れ(強震動)を事前に予測する研究も行っています。 強震動の予測は、各地の石油タンクサイトに設置している地震計のデータなどを使って行っています。 これまでに、将来的に発生確率が極めて高いといわれている想定宮城県沖地震が発生した場合の、仙台地域の石油タンクサイトでの強震動を予測しました。 実際に1978年に起きた宮城県沖地震では、仙台の製油所で石油タンク底部が強震動により損傷し、重油が大量に漏洩する事故が発生しています。

わたしたちは、これらの「揺れ」の情報にもとづいて石油タンクに発生する力やスロッシング波高などを計算することにより、タンクの被害を地震発生前に想定したり、地震発生後にすばやく推定したりすることができる防災情報システムの開発を進めています。


強震動予測結果にもとづいて石油タンクの側板に発生する圧縮応力を計算した結果の一例