完成した実戦配備型消防ロボットシステムを、対応すべき災害が発生した場合、即応して出動することを前提として、令和元年度に市原市消防局に実証配備しました。初期の習熟期間を経て、令和元年5月24日、消防ロボットシステムを装備した部隊が緊急消防援助隊特殊装備小隊として発足しました。また、消防ロボットシステムは「スクラムフォース」と命名されました(第1-5図、第1-6図、第1-7図)。


第1-5図 緊急消防援助隊特殊装備小隊の部隊発足式

第1-5図 緊急消防援助隊特殊装備小隊の部隊発足式


第1-6図 消防ロボットシステム:スクラムフォースのロゴ・マーク

第1-6図 消防ロボットシステム:スクラムフォースのロゴ・マーク


第1-7図 消防ロボットシステムによる放水デモンストレーション

第1-7図 消防ロボットシステムによる放水デモンストレーション


  消防本部の配備・運用における実用性の向上を図るため、現場目線の意見聴取し、隊員の要望に応じた指令システム操作画面の配置変更やエラー発生時の詳細な修正や復旧方法を提示する等の改良を実施しました。また、研究開発開始後に実用化された新技術の有効性を検討し、準天頂衛星(*2)「みちびき」技術を導入しました。一方で、現場で運用するためには十分な習熟が必要となりますが、より容易に習熟度の向上を図るため、指令システムのシミュレータ、飛行型偵察・監視ロボットの操縦シミュレータを開発整備しました。さらに首都直下型地震への対応を見据え、東京湾岸地域の大規模石油コンビナートのロボットの自律走行用地図を作成し、稼働に必要となる構内地図・施設諸元情報を取得しました。
  研究開発した消防ロボットシステムは、国内で発生が想定される最大の火災に対応できる機能を備えていますが、各消防本部の状況により、必要とされる機能が異なるため、①実戦配備型と同レベルのシステム、②実戦配備型の放水砲ロボットとホース延長ロボットのみのシステム、③遠隔操縦を取入れた放水砲ロボットとホース延長ロボットのみのシステムの3種類の仕様をとりまとめました。


(*2) 準天頂衛星:都市部における建築物や山間部では山が衛星からの電波を遮蔽し、GPSの電波が受信できないことがありますが、真上に衛星があると常に電波の受信が可能となります。常に日本の真上に衛星があるように整備された衛星が準天頂衛星「みちびき」であり、令和元年11月から本格運用されています。また、基準局で解析された補正データが準天頂衛星からの電波で配信され、GPSの精度の向上が図られます。



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