平成23年に発生した東日本大震災において、千葉県市原市の石油コンビナートで大規模な爆発が発生しました。平成24年には、兵庫県姫路市において化学プラント爆発火災事故が発生し、消防隊員を含む36人が負傷し、消防隊員1人が殉職しました。このような大規模・特殊な災害時には、消防隊員が災害現場で活動することは極めて危険であり、困難です。しかし、災害の拡大を抑制できなければ、危険な領域が拡大し、近隣地域へ影響を及ぼします。また、石油コンビナートや化学プラントは社会的基盤として重要な施設であるため、災害発生後の復旧の遅れにより、石油化学製品の供給が滞り、市民生活に影響を及ぼすこととなります。
  大規模・特殊な災害に対して消防活動を行う手段としては、ロボットの利用が考えられます。これまでに研究開発されてきた消防ロボットは、遠隔操縦により稼働し、1台で活動するものでした。遠隔操縦によってロボットを稼働させるには、操縦者とロボット間の通信距離に限度があり、大規模・特殊な災害においては安全な距離の確保が難しいという問題がありました。加えて、災害状況の把握と対応を1台のロボットで対処することは困難です。
  そこで消防庁では、このような災害においても、自律技術により安全な場所からロボットを稼働させることができ、複数のロボットが協調連携し、さらに、高い放射熱に耐えられる性能を備えた「消防ロボットシステム」の研究開発を行いました(第1-1図)。


第1-1図 開発する消防ロボットシステムのイメージ

第1-1図 開発する消防ロボットシステムのイメージ



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