避難場所に迫る火災:1995年阪神・淡路大震災(写真提供:毎日新聞社)1995年阪神・淡路大震災では、地震に関連して約300件の火災が発生し、その火災によって約500人の方が犠牲になり、約7,000棟の建物が焼失しました。また、東京湾北部の地震を想定した予測では、死者約11,000人のうち、火災で約6,200人もの犠牲者が出るとされています(風速15m/sの場合)。このような同時多発火災への対策としては、木造密集市街地の解消が最も有効ですが、それには大変時間がかかります。このためわたしたちは、同時多発火災が発生した場合の備えとして、消防力を最大限に活用できるよう、最適な消防部隊運用や広域応援を実現するための情報システムが必要であると考えています。

そのための取り組みとして、地震直後にリアルタイムに市街地火災の延焼を予測し、必要消防力、鎮圧可否判断、消防隊駆けつけ時間、消防水利など、さまざまな要素を考慮して、消防力最適運用を可能とするシミュレーションシステムの開発を行っています。また、住民に対する的確な避難指示を支援するための情報システムの開発も進めています。

これらのシステムは、震災時の実運用もさることながら、部隊運用の図上訓練など事前の備えにも役立つものと考えています。


図:市街地火災延焼シミュレーション結果の例


図:1995年阪神淡路大震災の歳の阪神地域での出火点